幼い頃に家族を失った、中條千里。高校生になった千里は、同級生である板倉に金を取り返して欲しいと持ちかけられる。千里は両親を惨殺し、一登を連れ去った犯人、通称「火の男」を追うために危険を顧みずに金を稼いでいた。そんな千里を幼馴染である恵南は心配するが、双子の兄・一登と痛みを感じた時にだけ視覚を共有することができた千里は、幼き日の惨劇を忘れないために痛みを伴っているのであった。そんなある日、千里は偶然火の傷のある男を目撃する……。
火の男の行方を掴んだかに思えた千里だったが、向かった先はもぬけの殻、そこには人の焼けた跡が……。途方にくれる間も無く、黒服の男二人組に襲われてしまう。恵南の機転で、その場を切り抜けた千里は、偶然拾ったパスケースの中から母親の写真を見つける。なぜ、おふくろの写真が！？混乱する千里の元へ、助けてもらったお礼と板倉が近付く。だがそれは、仲間をも巻き込む罠だった……。手掛かりを無くし、仲間も傷付け、失意にくれる千里は、再び家族を失った実家へ戻る。そこで千里が見たものとは……？
視覚の共有により、一登の生存を確信した千里。しかし、一登が行動を共にしているのは火の男で……。彼らは「ネズミ」と「三ツ目」という通り名がつく、裏社会では有名な殺し屋だった。千里は殺しを止めるため、一登をおびき出そうとするも……。そこに現れたのは、刑事・若園だった。あしらう千里に、若園は、一枚の紙を渡して去っていく……。
火の男のアジトを発見した千里と恵南。そこで見つけた写真には衝撃的な事実が写っていた……。さらに千里を追い込むかのように視覚の共有が飛び込んでくる。それは、火の男と「仕事」をする一登の姿だった。一登は、幼い頃に受けた傷の影響で後遺症を抱えていた……。混乱する千里に、百宮金融の金海が三ツ目（一登）に殺されたという連絡が入る。事件に違和感を覚えた千里は予想だにしない行動に出る……。
幼い頃銃弾を頭に受け、今でも時折昏睡状態に陥ってしまう一登だが、バイク事故を起こし、救急搬送されてしまう。病院に若園が駆けつけるも、先に現れた火の男が間一髪で一登を連れて逃げてしまった。逃げる最中、一登は、13年前なぜ自分が火の男について行ったのか……その事実を回想しながら、自分の代わりに千里が巻き込まれることを恐れていた。一方千里は、恵南と共に、火の男と母・光恵が写真を撮った場所を突き止める。「また明日ね！」恵南と、翌日その場所へ共に向かうことを約束するも、恵南は、現れなかった……。
「13年前の あの日 俺は壊れてしまった」一登直筆の手紙を見た若園は、千里と一登の両親を殺したのは当時5歳だった一登であると断定する。千里と恵南は、一登の情報を聞き出すために、加東の元へ向かう。加東曰く、三ツ目(一登)は、手当たり次第に殺すような男ではなかった。だが、ここ最近、仕事のやり方が変わったと。一登に身に起こった出来事、それは16歳の青年には重すぎる、凄惨な過去だった……。一登は大切な人を守るために戦っていた。
「俺はあいつを殺すためだけに生きてきた」幼い頃に家族を失った、中條千里。両親を惨殺し、双子の兄・一登を連れ去った犯人は、腕に火の傷がある、通称「火の男」。周囲が心配するほど、復讐のために命を削る千里は、ある日偶然、火の傷のある男を目撃する。火の男を追うにつれ、両親と兄の知らなかった真実が次々と明らかになっていく。さらに、行方不明だった一登の視界が、千里に飛び込んできてーー果たして、人生の全てを懸けた復讐劇の先にあるものは、千里に何をもたらすのか？悲しみを背負った主人公の力強い生き様を描いていくクライムサスペンス。
