帆村正義(唐沢寿明)は東京都内にある大学で心理学の教鞭を執る大学教授。正義が行う恋愛心理学の講義は彼のウイットに富んだ話術で学生たちの間では常に人気を博している。
だが、大学教授というお堅い肩書きを持つ正義には実は周囲の誰もが知らないもう一つの真の顔があった。それは彼が昔、史上最強と謳われた窃盗団“TAKE FIVE”のメンバーであったことだ。正義は父親と共に窃盗団“TAKE FIVE”で“悪い奴らから大金をせしめる!”という風変わりなポリシーで泥棒をしていたのだが、20年前、ある出来事をきっかけに正義たちは“TAKE FIVE”を封印。以来、正義は泥棒と無縁の生活を送っていた。
ある日、いつものように講義を終え、校内にある自分の研究室に戻って来た正義は自分の机の上に置かれた一通の不審な茶封筒に気づく。茶封筒の中身は一枚の絵画の写真で、その絵画は天才芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチ作の絵画「ルクレツィアの肖像」。写真を手にした正義がふと研究室から窓外を垣間見ると、大学に不似合いな風貌の一人のホームレスの女(倍賞美津子)が正義を見つめていた。直感的に茶封筒を置いた主がこの女だと察した正義が女に声をかけると、女は正義に渡した写真の絵画が東都銀行という銀行の担保倉庫にあると云う。さらに正義が泥棒だったことを知る素振りを見せて立ち去ってしまう。女が正義に絵画の写真を突き付けた意図は一体何なのか…。
固い決心で泥棒から足を洗った正義は女の口車に乗るような自分ではないと己に言い聞かせつつも絵画の所在を確認したい衝動に駆られ、結局東都銀行の担保倉庫に忍び込んでしまう。