Hibito struggles with the panic disorder that's afflicted him since his ordeal on the moon. However, he requests that his condition be kept secret from Mutta, who may have found a way to improve the lunar rover.
月での遭難が原因で、パニック障害となってしまった日々人は、このことをシャロンにだけは話していた。 『船外活動ができないうちは、月ミッションへの参加はできない――』 『治るかどうか、わからない――』 重い口調で話す日々人に、シャロンは微笑んだ。 「治るわよ。ヒビトなんだから」 シャロンの後押しを受け、心を少し軽くした日々人。 治療のため、六太や家族には内緒で、単身ロシアへ赴こうとしていた。 その頃、六太とNASAの技術者たちは、月面ローバーの改良案について相談していた。月でのハンドリングやブレーキを改善するためには、浮かないように車体を重くするしかない。だが月へ物を送るには、何百億円もの大金がかかるようなのだ。現実的には不可能な案しか出ない中、不意に六太が閃いた。 解決できるかもしれない案を思いついたかもしれない――らしいのだ。 すぐさま六太は、以前勤めていてクビになった、ミラクルカーコーポレーションに電話をかけた。昔自分が企画した『飛行自動車』と『フロントガラス』の設計を思い出し、ローバーの改良に使えると考えたからだ。話しをしていると、電話の相手は元同僚から、六太をクビにした張本人・間寺役員に代わった。間寺の要件は、娘が新田のファンなので、サインが欲しいということ。少なからず宇宙に興味があると知った六太は、これをチャンスだと思い、すかさず協力を求めた。 「車のプロの実力をぜひ、宇宙で役立てたいんです!」 六太の言葉に気をよくした間寺は、NASAのローバー開発に、格安で協力することを約束してくれた。 さらにJAXAの