Mutta, Hibito and Serika accompany Sharon to a neurologist, where Serika fears she may be suffering from amyotrophic lateral sclerosis just like her father. As Sharon is admitted for more tests, Serika explains the details of ALS to Mutta, who is shocked to learn that it may one day kill her. As such, Mutta finds himself unable to concentrate on his written test and scores terribly. Following her examinations, in which she is properly diagnosed with ALS, Sharon is visited by Serika, who tells her about her father and motivates her to work hard on her research despite her illness. As Sharon heads back towards Japan, Mutta reaffirms his promise to help build her telescope. Later, Serika tells Mutta about a similar promise she made to get up to the ISS and develop a treatment for ALS.
ジョンソン宇宙センター・一室――。
真剣な顔つきで筆記テストに臨んでいる訓練生たちの中、六太の手は止まっていた。誰よりも早く月へ行き、シャロンとの約束を果たしたいと思っているにも関わらず、まったくテストに集中できないのだ。
数日前――。
六太とせりかは、シャロンの症状を解明するため、神経内科病院へ来ていた。せりかがシャロンの腕を叩いた時、筋線維束収縮の反応があったからである。せりかは、シャロンが自分の父と同じ病気、『ALS』の可能性を心配していた。
『ALS』とは、運動ニューロンという神経だけが障害を受け、脳から筋肉を動かす命令が伝わらなくなっていく病気である。そのせいで筋肉がやせ、徐々に手足が動かせなくなり、食べることも、話すことも、自力での呼吸もできなくなってしまうのだ。
シャロンの検査結果は、ALSだった。あと数ヶ月で、シャロンは大好きなピアノも弾けなくなってしまうのである。そのことを告げられても、それでもシャロンは笑顔を忘れなかった。
六太は、「僕はいざという時、役にも立たないダメ人間です」を英語で言うとどうなるか、シャロンに聞いた時のことを思い出していた。
『イッツア・ピース・オブ・ケイク』
直訳すれば「ケーキ一切れ分」ということだが、違う意味もあるというシャロン。
その時の六太は、マイナスの意味で受け取ったが、本当の意味は――。
『楽勝だよ』
こういうウソを、平気な顔でついてしまうのがシャロンだった。
後日、六太のにシャロンからメールが届いた。
『私も3年後か4年後かに、あなたに月面望遠鏡建設計画の