2千種もの動植物が生息する釧路湿原を、工業開発から守ろうと奔走した人々の挑戦を再構成して伝える。昭和40年代、農地開発を妨げる釧路湿原は、地元住民から敬遠されていた。その一方で湿原にはタンチョウや希少なトンボ、果てしなく続くアシ原に魅せられた人々が観察に訪れていた。そんな中、湿原に火力発電所や工業団地を造ろうとする計画が持ち上がった。植物学者の田中瑞穂ら釧路湿原を愛する研究者らは、すぐさま保護協会を結成。開発阻止の根拠となる湿原の生態調査に乗り出した。調査に参加したのは、ほとんどが我流で観察を始めた素人研究家。彼らの3年間にわたる調査は世界でも珍しい湿原総合調査となり、やがて彼らは湿原保護の基本合意を取り付ける。