果てなき芸道、真の花を 狂言師・野村萬斎

狂言は、日本が世界に誇る“笑いの芸術”。 その舞台に立つ狂言師・野村萬斎の根底にある流儀だ。狂言は、庶民の目線から権力者をチクリと風刺したり、人間だれもが持っている欲望や虚栄心などをおもしろおかしく描いた演目が多い。番組で紹介した「棒縛」のように、縄で縛り上げられても酒が飲みたいという人間の強欲さ、無理な体勢で必死に酒を飲む姿は、観客の笑いを誘う。人間が必死に生きる姿は、たくましくもあり、滑稽だ。必死になればなるほどおかしさは増す。だからこそ、舞台に立つ萬斎も懸命に芸を磨き、演じる。笑いは無理に取りにいくものではなく、“本気”の先に自然に生まれるものだという。目指すのは、一過性の表面的な笑いではない。登場人物の姿や心境に「ある、ある!わかる!」と観客が共鳴したときに沸きあがる、あたたかい笑いだ。 “酒が飲みたい”“甘い物が食べたい”“仕事中なのに眠い”というささいな欲求から、社会の不条理や世の無常観まで。「生きていればさまざまなことがあるけど、それを笑い飛ばして明日も生きていこう。それが狂言のよさ」と萬斎は言う。

日本語
  • Originally Aired December 15, 2014
  • Runtime 48 minutes
  • Network NHK
  • Notes Is a season finale
  • Created May 2, 2023 by
    edwerds
  • Modified December 29, 2023 by
    atsumori