上原さんの担当するポジション・クローザーは、心理的な負担が大きいポジションだ。マウンドを託されるのは、接戦で勝っている試合の終盤ばかり。上原さんが逆転を許してしまえば、それは負け試合となってしまい、その責任を一心に背負わなければならない。 しかも、対戦相手となるのは、屈強なメジャーリーガーたち。圧倒的パワーを武器に、ホームランを放つ可能性も高く、毎回チームの期待にこたえることは決して容易ではない。 そんな壮絶なプレッシャーがかかるマウンドの上で、上原さんが大事にしている流儀が、「怯えたら、打たれる」ということだ。 「恐怖心でどうしようって考えた時点で負けなんで。自分より、すごい給料もらってるバッターが立ちました。何でこんなやつに打たれなあかんねんと思いながら投げてるし。負けると思ってやってるやつはいないと思うよ。それが勝負の世界でしょ。」(上原さん) 不安な気持ちでマウンドに上がれば、それがわずかなコントロールミスにつながり、痛打を浴びたり、よけいなフォアボールを出してしまう。さらにピンチを招くと、精神的に負のスパイラルに入ってしまう。だからこそ上原さんは、絶対に怯えない。自分のボールを信じて真っ向勝負を挑むと決めている。