日本競泳界のスーパースター・北島康介。平泳ぎで2004年のアテネ、2008年の北京とオリンピック2大会連続2種目金メダルという偉業を成し遂げてきた。しかし、3連覇が期待された2年前のロンドン大会、北島はトップから大きな差をつけられ敗れた。このときすでに29歳、引退を予想する声も少なくなかった。北島自身もみずからの進退について考え続けたことを認める。 しかし、北島は現役続行を決め、今も戦いの世界に身を置き続けている。北島を水の中へとつなぎ止めるものは一体何なのか。 北島はこう答えた。――「日常では感じ得ることができないものを、水の中に入ったら改めて感じることが出来る。それがレベルが低いにしろ、結果が出ないにせよ、そういう刺激を味わえるというのが水泳にどんどんのめり込んでいくきっかけだったりする。水泳を続けるという選択肢を選ぶのも簡単だけど、やめるという選択肢を選ぶのも簡単。だから、選手として水泳と向き合う時間がある以上は、続けた方がいいなって」