ギリギリの闘いだけが自分を成長させてくれる プロボクサー山中慎介(34)。 中学生の時にテレビで見たボクシングの試合に影響を受けボクシングを始める。 山中は、29歳で世界王者になった遅咲きのボクサーだが、権威あるアメリカのボクシング雑誌が選ぶ、現役最強ボクサーランキング“パウンド・フォー・パウンド”で、日本人ながらトップ10入りを果たしている。数多くいるチャンピオンの中で、山中の評価が世界的にも高いのは、12度の防衛(日本歴代2位)のうち8回をKO勝利という圧倒的な戦績だけが理由ではない。防衛戦の相手に、常に“強い相手”を指名してきたからだ。その強い相手を選ぶ訳は、かつて日本チャンピオン時代に経験した一戦からだ。 日本タイトルの初防衛戦、当時鳴り物入りでプロ入りしてきた岩佐亮佑と対戦。 初めて恐怖と不安を感じ懸命に自分を追い込んだ。試合も両者譲らずの打撃戦を最終ラウンド劇的な逆転TKO勝利で日本タイトルを守った。そのとき、山中が感じたことは「自分が勝って当たり前の相手、どう倒すかっていう相手だったら試合までに成長はできない。どちらが勝つかわからないっていうぎりぎりの相手と闘って、その危機感が自分を成長させる。」ということ。以来、山中はその流儀に基づき防衛を重ねてきた。