吹奏楽部音楽監督・藤重佳久が率いる、長崎・活水高校の挑戦は、苦境の中から始まった。8月、年に一度の大切な大会で惜しくも敗れ、全国大会への切符を逃した。しかし、藤重はショックを受ける部員たちを鼓舞する。1か月後に、もうひとつの大きな大会、「マーチングコンテスト」が待っていた。マーチングでは、演奏をしながらさまざまな隊列を組んで行進する。大きな楽器は12キロにも及び、体力・集中力ともに求められる難易度の高い大会だ。 練習中、藤重は難解なフレーズが演奏できない生徒を見て、専門ではない楽器を自ら吹き、指導者自身が全力で諦めない姿をさらけだす。さらに、集中できておらず音が乱れた生徒には、自分でできるようになったと思うまで、離れた場所で練習させる。そこにあるのは、「全力が、全力を引き出す」という藤重の流儀。また、肩に力の入った生徒には、ユーモアを交えた言葉をかけ、正確なだけでなくイキイキとした音を引き出す。生徒に「嵐」と呼ばれる破天荒な藤重、あの手この手を使い、生徒のやる気をひきだしていく。