フランスの世界的な三つ星店などで最先端のフレンチを習得し、5年前に富山にやってきた谷口。華やかな経歴を持つシェフだが、彼の店ではフランス産のフォアグラ、トリュフといったフレンチで定番の、有名輸入食材がコースの主役になることはない。 出されるのは、地元でとれた山菜やヤギのミルク、イノシシや熊の肉、そしてホタルイカや白エビ、ゲンゲ、ノドグロなどの富山湾の海の幸が使われた、独自のフルコース。地元で食べ尽くされた食材が、谷口の手にかかると全く新たな料理へと生まれ変わっていく。 いま谷口が作り続けるのは、これまでに体得してきた最新のフレンチの料理哲学と、伝統の食文化を研究して活用、双方を掛け合わせた、「どこにもない料理」だ。