何者かに母をさらわれ、ラグ・シーイング自身は「テガミ」として送り届けられることになった。そのラグを送ることになったのが、「テガミバチ」のゴーシュ・スエードだった。だが大好きな母と引き離され心を閉ざしたラグは、自分自身の感情を押し隠し、仕事をまっとうすることを最優先とするゴーシュに反発するが…。
ゴーシュの心を垣間見たラグは、ゴーシュが首都で働くBEEの中でもただ一人選ばれる最高称号者、ヘッド・ビーになる夢を持っていること、その夢に一歩近づき、間もなく首都勤務になる予定であることを知る。翌日には目的地にたどり着くという日、ラグはこのままゴーシュについて首都へ行き、母を探したいとせがむが…。
ゴーシュとの出会いから数年後、テガミバチを目指すラグは一次審査に合格し、次の審査のため、郵便館のあるユウサリ地区に向かうことになった。「テガミバチ」のコナー・クルフと駅までやってきたラグは、駅の狭い隙間の中に隠れていた小さな女の子を見つける。その女の子はかつてのラグと同じように「テガミ」だった…。
ラグは、配達票の不備のため、テガミとして認めてもらえない女の子に「ニッチ」という名前をつけてあげて、届け先まで送り届けることに決める。そしてニッチを送り届けたラグだったが、その届け先が見世物小屋であること、今回の呼び物が伝説の生き物・摩訶(マカ)の血を引く子供であることを聞き不安にかられて…。
ラグは、ニッチとニッチにくっついてきた珍獣のステーキとともに、ユウサリ地区へ続く橋「ビフレスト」がある「キリエの町」へとやってきた。そこで出会ったネリの案内でラグたちは宿を訪れるが、荷物を持って先に部屋に行っているはずのネリが忽然と姿を消す。ネリの目的はラグの持つユウサリ地区への通行証だった…。
通行証を取り戻すため、ネリを追いかけるラグとニッチ。一方、偽者であることを見抜かれたネリは、制裁を受けることに。そんなネリをすんでのところで助けるラグたち。だがそのとき、ネリは死んだ弟、ネロが書いたジギー・ペッパー宛ての手紙を落としてしまう。その手紙を拾おうとラグが必死に手を伸ばしたとき…。
ニッチを正式な相棒(ディンゴ)にすることに決め、ユウサリの郵便館BEE-HIVE、通称「ハチノス」にたどり着いたラグは、マッケイ・ジーという少年と、BEEの面接適性審査を受けることになる。審査は本物のテガミを無事、宛先に送り届けること。適性審査とはいえ、本物のテガミを送り届けると聞いたラグは…。
ゴーシュはもうBEEではない。BEE審査監視員のテガミバチ、ザジから聞かされた言葉にショックを受けたラグは、浮かない気持ちのままニッチとステーキを連れ、ゴーシュの妹であるシルベットに会いに行く。そんなラグたちを出迎えたのは、彼らを借金取りと勘違いし、銃を構えて気丈にふるまう車椅子の少女だった…。
もう一度話をしようと、シルベットの住む家に引き返したラグは、ベランダで涙ぐむシルベットの姿に心を打たれる。ラグはシルベットとともにゴーシュの心を知ろうと、彼の残した心弾銃「夜想曲(ノクターン)第二十番・心弾カスタム」に向かって、自分自身の心弾を撃ち込んだ。ゴーシュの心弾銃に残されていた記憶は…!?
テガミバチ、ラグとディンゴのニッチの初出勤の朝、彼らが身を寄せるシルベットの家に、ハチノスの副館長、アリア・リンクが訪ねてきた。彼女は「祈りの丘」と呼ばれる場所にラグたちを案内すると、そこで子供の頃、ゴーシュの身に起こったできごとを語り始めた…。
テガミバチとしての日々を送るラグは、ある日ヴィンセント・オルコットという若者の家へと集荷にやってきた。本にうずもれたホコリだらけの部屋で暮らすヴィンセントは、作家を志すもののなかなか芽が出ずにいたが、故郷の母を心配させまいと自分が成功したかのような「嘘のテガミ」を書いていた。それを知ったラグは…。
アンバーグラウンドの北方に伝わるお祭り「聖なる夜」の季節がやってきた。聖なる夜には、二人組のおじいさんが子供たちにプレゼントを届けるといわれている。その伝承にちなんで、ザジとともに慈善団体から預かったプレゼントを届けることになったラグたちは、配達先の村でソーニャ・マルメーラという少女と出会い…。
ある日ハチノスに、自分が出したテガミを返して欲しいという男、プロメッサ・プロメタスがやってきた。だがテガミはすでに配達に向かっている途中。その担当配達員はラグ・シーイング。それを聞いたプロメッサは慌ててラグを追う。一方、プロメッサのテガミを預かるラグは、思いのほか配達が順調に進み逆に困っていた…。
テガミバチとして忙しい日々を送っているせいか、疲れ気味のラグは、心配したコナーとザジから医療班の検診を受けることを勧められる。医療班のヘッド・ドクター、サンダーランドJr.博士は、解剖が趣味の変わり者で人々から「死骸博士」と呼ばれ怖れられていた。そんな博士が、ステーキに興味を持ち捕獲してしまい…。
ラグとニッチが乗り合い馬車で一緒になったボニーとモスの熱愛カップル。結婚の約束をしていた二人は、ボニーが結婚を拒んだ男、フランク率いるごろつき集団に追われていた。「結婚とは好きな人とずっと一緒にいることだ。」と聞いたニッチは、ボニーとモスが無事、結婚できるようにとフランクたちを追い払うが…。
人気ピアニスト、マチルダ・レインの熱烈なファン、ジョーイからのファンレターを届けたラグは、マチルダがジョーイからのテガミをいつも楽しみにしていることを知る。だがひょんなことからラグは、そのファンレターを書いているのが別人であることに気付いてしまい…。
ラグとニッチは、ハチノスの館長、ラルゴ・ロイドからの依頼でヨダカ地方の町「シレンシオ」へ小包を届けることになる。受取人はかつてテガミバチとして働いていた女性、エレナ・ブラン。ただいつもと違って、今回の配達には「ダーウィン」という特別な案内役が同行することになっていた…。
ある日、「テガミバト」と名乗る三人組がハチノスに挑戦状を持って乗り込んできた。自分たちでも「テガミ」の配達を始めるので、テガミバチと競争して名をあげようというのだ。それを面白がったラルゴ館長がその挑戦を受けてしまったためにラグ、ザジ、コナーはテガミバトと熾烈な配達競争をすることになり…。
ラグが熱を出した。心配したシルベットとニッチは二人で協力してラグの看病をしようとするが、慣れないニッチは失敗ばかり。おまけにお使いの途中でも、買出しの途中でも寄り道ばかりしてしまう。そんなニッチにいちいち世話を焼くシルベットだが、ニッチのほうは口うるさいシルベットに嫌気がさしてきて…。
ザジがテガミを紛失した上にケガをして帰ってきた。ザジが鎧虫(ガイチュウ)から逃れるため、テガミを捨ててきたというウワサが流れる中、ハチノスでは別のテガミバチにテガミを回収、再配達させることにする。その代役を名乗り出たラグだが、ザジは敢えて鎧虫のテリトリーが点在する危険な方のルートを選んでいた…。
ハチノスに新しい休憩室ができた。休憩室の責任者マナ・ジョーンズは、事故で両目の視力を失っていたが優れた嗅覚の持つ主で植物のスペシャリスト。ラグたちにマナは、自分が今ここで仕事をしていられるのはゴーシュとサンダーランドJr.博士のおかげだと、自らが視力を失うことになった事故の一部始終を語り始めた…。
事故調査委員会の無謀な要求にこたえ、マナの夢をかなえるため、植物研究の第一人者、ホイットマン博士にテガミを書くサンダーランドJr.と、その配達を請け負ったゴーシュ。与えられたわずかな期限内にテガミを届け、ホイットマン博士からの返事を調査委員会に提出するため、ゴーシュは無茶を承知で配達に赴く…。
サンダーランドJr.から預かった「精霊になれなかった者」へのテガミを「ハニー・ウォーターズ」の町へ届けることになったラグとニッチ、コナーは、ゴーシュと同じ黒い精霊琥珀を持つ女サラと「精霊になれなかった者」ハントの夫婦に出会う。二人は反政府組織「リバース」を名乗り、人々を先導してラグたちを襲い…。
ラグが出会った少女、アン・グラードが持つたくさんのテガミにひきよせられ、鎧虫がハニー・ウォーターズの町に現れた。コナーと協力して鎧虫を倒そうとするラグたちだったが、町の人々に邪魔され苦戦することに! そこへ駆けつけたのは配達帰りのザジ。三人は連携して鎧虫を追い詰めていくが…。
鎧虫に捕らわれたアン、ハント。ザジとコナーの必死の攻撃が繰り返される中、ラグの放った心弾がついに鎧虫を捉えた。しかし、力尽きたハントは、崩れ落ちた地面の中に落下していく。そのハントに触れたラグの心弾が映し出したものは、サラとハントの悲しい過去と二人を鎧虫から守り戦う、ゴーシュとロダの姿だった。
行方不明だったゴーシュと巡り会うことが出来たラグ。しかし、彼は「略奪者(マローダー)・ノワール」と名乗りラグのテガミを奪い去ってゆく。傷つき倒れていたラグは、ジギー・ペッパーに助けられ、「郵便館(ハチノス)」に運び込まれたのだが、ラグの「相棒(ディンゴ)」のニッチはこの事態に深く傷ついていた…。
ラグの相棒(ディンゴ)を失格したと思い込んだニッチは、珍獣のステーキとともに家出をしてしまった。お腹を空かせ、あてもなく町をさまよい歩いていたニッチは、パンと武器の店であるシナーズに忍び込む。そしてニッチが、いよいよステーキを焼きあげようとしたその時、店主のゴベーニ夫妻に見つかってしまい…。
屋敷の女主人、レイ・アトリーからラグは差出人不明の絵テガミの送り主を探してほしいと頼まれた。故郷を思い出すその絵テガミは、病と闘う今の自分にとって生きる支えになっているらしい。「心弾」に頼らず送り主を探そうとがんばるラグは、絵テガミに使われている絵の具が彼女の故郷と関係があることをつきとめるが…。
祖父だと名乗る老人と荒野に建つ幻灯台で働く少年ルーグは「ここを離れろ」というどこからともなく聞こえる謎の声に悩まされていた。同じ頃、その場所を配達途中のジギー・ペッパーが通りかかり、幻灯台の上に巣食う鎧虫コロナに気づく。「鉄の馬」を駆り、幻灯台を駆け上るジギー・ペッパーの心弾「群青」が炸裂する…!
南部で反政府組織リバースにテガミを奪われる事件が相次いでいた。その監査人として首都アカツキから元テガミバチのカリブス・ガラードたちがやってくる。その中、モック・サリヴァンも襲撃を受け、テガミを谷底に落としてしまう。ガラードはリバースがテガミバチの行動を知りすぎていることから内通者の存在を疑うが…。
シルベット宛にファンレターが届いた。それはM・クローチェという少女からのもので、もうすぐ故郷から離れ、炭鉱で働くことになる兄のために自分そっくりの人形を作ってほしいというものだった。そのテガミを読んだ「人形作家」シルベットは人形作りに取りかかると徹夜で完成させた人形を少女の家へ届けに出かけるが…。
ヨダカ北の辺境で、ノワールらしき人物が目撃された。ハチノス館長のラルゴ・ロイドから、ノワールの目的を探るよう指示されたラグは、ニッチやステーキと現地に向かう。そこで、鎧虫とよく似た巨大生物の抜け殻を発見。ノワールが残したと思われる心弾銃の薬莢も見つける。ラグはその薬莢に自分自身の心弾を撃ち込む…!
ブルー・ノーツ・ブルースの町を訪れたラグ。ノワールらしき人物を目撃したという洞窟へ行こうとするラグに町長のハリ・トーノフは、摩訶の住処のある神聖で危険な場所である洞窟はたとえ誰であろうと立ち入ることはできないと言う。それでもノワールの目的を知りたいラグはニッチの言葉に励まされ、洞窟へと向かい…。
ニッチと双子の姉は、呪われた子として人々に疎まれ、彼らの手で葬り去られることになった。妹と引き離された姉は、たった一人で暮らしてきた。だが、やっとめぐり会った妹のニッチはそのときのことを覚えておらず、ラグを守ろうとする。そんな妹の姿にショックを受けた姉は、妹もろとも人々を抹殺しようとして…。
ザジと合流し、コナーのいるラメントの町へ立ち寄ることにしたラグ。そこで、倒れているコナーを発見して驚く二人。ところが、コナーはサニーという修道女が焼いたクッキーを食べ過ぎただけだった。そんな中、ラグはサニーが暮らす修道院でノワールのディンゴ、ロダが、テガミの束を受け取るのを見てしまい…。
修道院の厨房でクッキーを焼くサニーのもとに院長が現れた。そして、猛毒の含まれた葉をクッキーに混ぜ、コナーに食べさせるよう指示する。一方、ラグと戦うロダを目撃したコナーは一目ぼれの相手であるロダがリバースの一員だと知りショックを受ける。いくつもの混乱と錯綜の中、巨大鎧虫「カベルネ」が襲来した…!
ラグとノワールの戦いが続く中、ヴァシュカに伝令を任せ加勢に戻ったザジ。そこへ小型鎧虫「ラオラオ」が空から大群で押し寄せてきた。ラグとザジは必死で鎧虫を倒そうとするが、数が多い上にディンゴの助けを期待できない二人は苦戦する。だが、そこに頼もしい味方が現れ、ついにラグの「手紙(テガミ)弾」が放たれる…。
政府の要請でカベルネ追跡と討伐にテガミバチたちがかりだされることになった。人員不足もあり、ハチノス副館長のアリア・リンクも通常業務の配達に出かけることになる。その配達先はホーダイ・フランクリン。「瞬きの日」に飛行船に乗っていて、事故にあった人物だった。ニッチがディンゴとして、アリアに同行するが…。
テガミを渡そうとするアリアは、突然殴りかかってきたホーダイのせいでケガを負ってしまった。それでもひるむことなく説得を続けるアリアは、瞬きの日に自分の大切な人もこころの一部を失ったと話す。その言葉を聞いたホーダイは、彼女たちを家に招き入れると、飛行船で起こった忌まわしい事故の記憶を語り始めて…。
ラグが撃ち込んだ「手紙弾」の効果が現れたのか、ノワールが「ゴーシュ・スエード」の記憶を取り戻した。そしてラグは、シルベットのためにもゴーシュを家に帰してほしいと館長のラルゴとサンダーランドJr.に頼み込む。ゴーシュの帰宅を許可したが、ラルゴとサンダーランドJr.にはぬぐいきれない懸念があった…。
ノワールを追ってきたロダは、ラグやシルベットと楽しそうに過ごすノワールの姿を目にし、複雑な思いを抱いていた。そんなとき、ガラの悪い男たちに絡まれたロダはサラとハントに助けられる。日雇いディンゴの斡旋所で働いているサラは、ロダが以前、誰かのディンゴをしていたと聞き、自分の職場に彼女を連れてゆき…。
姿を消したノワールを見つけ出し、アカツキへ連行すると主張するガラードとバレンタインは、シルベットを尋問し、彼の居場所をつきとめようとする。一方、ロダと合流したノワールは、リバースの拠点の一つだった廃墟へきていた。そこに現れたラグにノワールは、今の自分はリバースの一員であると言い、銃口を向けて…。
カベルネの追跡をしていたザジはジールと名乗るマローダーに襲撃された。心弾の青棘で対抗するザジだが、アンバーグラウンド政府に強い憎しみを持つジールには悪意のこもった青棘ではダメージを与えられず、逆に追い詰められてしまう。一方、ザジからの伝令を受けたラグの前にリバースの首謀者・ロレンスが現れて…。
ザジがジールへとむしゃらに撃ち込んだ心弾、青棘に引き寄せられてカベルネが目覚めた。そして討伐のためにカベルネを追ったザジとラグは、ジールの「こころ」の断片を見てしまう。そのジールが目指すものを知り、思わず彼を助けるザジ。だが、それぞれに譲れないものを持つ二人が互いに相容れることはなく…。
カベルネの追跡を協力してもらおうと、コナーを訪ねることにしたラグ。カベルネに「こころ」を喰われたサニーの世話をするコナーと再会したラグは、サニーとも再会する。だが、サニーには記憶や「こころ」が残っていなかった。そんなとき、「こころ」も表情も失ったはずのサニーの顔に微笑みが浮かぶ出来事が起きて…。
地中にいるカベルネをおびき出して倒す作戦が始まり、ラグやザジ、復帰したコナーが作戦に参加することになった。一方、リバースの計画は最終段階に入っていた。ロレンスは、カベルネの力をより強大にするため、精霊になれなかった者たちの増幅された「こころ」を利用しようと彼らをある場所へと連れ出そうとしていた…。
ロレンスの計画を阻止し、精霊になれなかった者たちを守るため、シナーズを訪れたノワール。心弾銃を用意してもらったノワールは、店を出たところでシルベットに出会ってしまう。兄の変化に気づきつつも何事もなかったかのようにふるまい、気遣うシルベット。ノワールはそんなシルベットの想いに後ろ髪を引かれるが…。
「祈りの丘」が崩れ、地下の空洞に落ちてしまったラグとノワール。「自分はもうゴーシュ・スエードではない」と言うノワールにラグは、ゴーシュの「こころ」を取り戻そうと心弾銃を向ける。だが、一瞬早くノワールの心弾がラグを撃ち抜く。そして、ラグが触れた「こころ」の欠片の一つが思いがけない光景を映し出す…。
自らの計画を見届けるため、ユウサリセントラルに現れたロレンスを待ち受けていたのは、最悪の事態に備えていたアリアやモックらハチノスの仲間だった。さらに、カベルネを阻止するために摩訶やニッチの姉までもが集結する。何としてもアカツキを壊滅させたいと考えるロレンスは、最後の手段に打って出て…。
最強の鎧虫、カベルネが襲来し混乱に陥ったユウサリセントラルでの戦いは熾烈を極めた。仲間たちが傷ついてゆく中、ノワールの「こころ」を受け継いだラグが立ち上がる。たくさんの人々と出会い、そしてたくさんの思い出のできたユウサリセントラルをリバースの野望から守るため、ラグは渾身の心弾を撃ち出す…!