早川正義(オダギリ ジョー)は13年前、超人気ロックバンド「under cloud」のメンバーとして、爆発的な人気を獲得していた。初めて手がけた曲がミリオンヒットを記録、群がるファンをよりどりみどりにつまみ食い。日本、いや地球、いや宇宙ですら正義のためにまわっていると思えるほどだったが、人気絶頂でバンドは突然解散を発表。正義は、俺一人でもやっていけるはずだとソロデビューする。ところが新曲をリリースするたび人気は急降下の一途をたどり、気がつけば世間から完全に忘れ去られた存在になっていた。 そんな正義の現在の仕事といえば、週1回のラジオ番組だけ。正義の最大の理解者であるマネージャー三木(ユースケ・サンタマリア)が必死の努力を重ねた結果、ある日、人気アーティストとのコラボ企画の仕事を取ってくる。が、内容が気にくわなかった正義はその打ち合わせの現場から三木をまいて逃げ出してしまう。 旧知の水島明良(トータス松本)、朝子(大塚寧々)が経営するカレーダイニング&バー「nanja」に逃げ出した正義は、朝子の妹のカメラマン洋子(貫地谷しほり)を相手に先ほどのコラボ企画の件をグチる。洋子を相手に言いたい放題の正義。その様子を店の外から東海林秀蔵(藤竜也)という初老の男がうかがっていた。正義が店を出ると、秀蔵は正義を尾行し始める。尾行に気付かず歩く正義。その目の前に突如、ランドセルを背負った美月(大森絢音)と陸(藤本哉汰)が現れ、「お父さん!」と正義に呼びかけるのだった