地元の農業がイノシシ被害で壊れてしまうかもしれない」 そんな危機感から、立ち上がったグループがある。熊本の若手農家たち約130人で組織され、自らを「農家ハンター」と名乗る。野生動物による農作物被害は、近年、イノシシ・シカだけでなく、クマやサルも多い。農作物に被害を与える「食害」だけでなく、車との接触や人とぶつかる「事故」が増えてきている。 この問題に対して、農家ハンターたちは捕獲ワナの見回り負担を軽減する通信装置を導入。インターネットで捕獲の仕方やイノシシの生態を把握して、SNSを通じて成功だけでなく失敗をも共有することで、プロの猟師も驚く捕獲実績をあげてきた。さらに、捕獲場所を自動で3Dクラウドマップ化し、ビックデータのようにイノシシの捕獲・出現状況からワナの位置を考えるシステムの運用もはじめた。 このようなハイテク技術を取り入れたメンバーが、各地方に農家ハンターとして散らばることで、地域のハブになる仕組みだ。特に、着目すべきは、これらのイノシシ対策がNPOや行政などが主導したものでなく、農家である当事者が考え、実行しているということ。 番組では、手弁当でこの活動を続けてきた2人のリーダー稲葉達也と宮川将人に密着。稲刈りがはじまり、名産のみかんやデコポンが収穫の時期をむかえる頃、冬支度のために栄養を求めて人里に降りてくるイノシシに立ち向かう。 「熊本から日本を、農業を元気にしたい」 「農家」と「ハンター」を両立できる先進的なモデルとして、国内だけでなく国連からもSDGs事例としても注目されている最先端の取り組みに迫る。