60~70年代、日本の演劇を揺さぶった唐十郎率いる状況劇場、通称“紅テント”。劇場に頼らず、神社の境内や河原にテントを張り、全国各地で芝居を上演。それは日常に突如出現した異空間。唐は独裁政権下の韓国や中東パレスチナの難民キャンプでも芝居を敢行、時空を超えて記憶に刻まれる。故・中村勘三郎は衝撃を受け、これこそ歌舞伎の原点だと「平成中村座」を旗揚げする。時代の常識に抗い演じることに命を賭けた男の冒険。