母・ちとみさんが峰さんに送り続けたあまたの手紙、その文末には必ず同じ言葉が添えらえていた。「実るほど頭の下がる稲穂かな」。その言葉のままの人生を送った父と母。そんな両親が眠る姿を、峰さんは見た記憶がないと言う。それほどに働き続けた2人の人生だった。仲むつまじく、家業の酒屋を守り続けた。しかし、若き日の2人の結婚には、時代に翻弄され、運命の悲しいめぐり合わせと言わざるを得ない物語が秘められていた。