信濃経営を目前としている今、勘助には3つの願い事があった。一つは越後の長尾景虎を成敗すること。一つは、由布姫が産んだ晴信の子・四郎勝頼の初陣を見ること。そしてもう一つは、晴信の好色な性格を正すことだった。だが、最後の願い事は、勘助にとっても難題であった。晴信は由布姫のほかにももう1人、於琴姫という美しい姫に熱を上げている。その姫の存在を勘助には隠し通そうとする晴信の姿に、勘助は呆れる他なかった。そこで、勘助は晴信が尊敬する足利氏の高僧・桃首座を招き、晴信に説法を試みる。ついに晴信は観念し出家を決意、以後、信玄と号することとなった。勘助もまた剃髪し、道鬼と号した。