貧しい子供たちの往診をしていた刀舟のもとに、スリの仙吉が現れる。刀舟に無理やり財布を預けた仙吉は、謎の侍たちに惨殺される。怒りに燃え、侍たちをぶった斬る刀舟。瑞光院に戻り財布を調べると...。
老中・水野忠邦が何者かに襲われ、重傷を負った。水野家お抱えの医師たちが無力をさらすなか、立花主計は噂を聞き、刀舟を訪ねる。民を虐げる侍を看る事を潔しとしない刀舟はその願いを跳ね除けるが...。
刀舟の前に現れた浪人・湯浅新兵衛は、刀舟に書状を渡し、いきなり切腹を図る。刀舟の必死の治療により一命をとりとめた新兵衛だったが、その行動の裏には関八州の幕府役人たちに苦しめられる人々の窮状があった。
刀舟の元に女郎の鹿子が運び込まれる。瀕死の鹿子を看た刀舟は、阿片による中毒だと判断するのだった。その頃、火付盗賊改でも阿片密輸の内偵をすすめていたが、それを調べる密偵の身に危険が忍び寄っていた。
舟釣りをしている弥九郎とお竜のもとに、気絶している女を乗せた船が流されてきた。瑞光院に運び込んだものの、女は謎の言葉を残して死んでしまう。女の言葉に導かれて三河の仏島に向かう刀舟たちだったが...。
チンピラヤクザの丈吉は、ある日別のヤクザの集団に襲われている侍を見かけ、どさくさに紛れ侍の持っていた木箱を持ち逃げする。なんとその中に入っていたのは銃で、しかも葵のご紋が刻まれていた。
ある日、武家の娘・綾は何者かによって乗馬中に矢を掛けられ落馬する。刀舟によって一命をとりとめるが、気が付いた時、すべての記憶を失っていた。一方、江戸では付け火による火災が次々に起こっていた。
刀舟のもとに通っていた与七が謎の浪人に追われ姿を消す。どうやら有力な回船問屋・西海屋の秘密を知ってしまったために狙われたらしい。与七を亡き者にせねばならない秘密とは...その影には恐るべき真相があった。
岡場所に刀舟を目の仇にする遊女がいた。名はおしの、どうやら医者に恨みがあるらしい。そんな時、医者の玄竹が岡場所を訪れ、おしのの可愛がる見習いのおせんに目をつける。この玄竹こそ、おしのの真の仇だった。
江戸を騒がす怪盗カラス組。次々に大店を襲い、大金を強奪していた。大和屋の主人はそのカラス組に対抗し、新しい錠前をつくり、あろうことか破ってみせろと挑発する。しかし大和屋には重大な秘密があった。
刀舟の住む千住を訪れた旅芸人一座のもとに、骨壺を持った瀕死の浪人が現れる。いぶかしむ一座に骨壺を渡した浪人は、謎の侍たちに襲われ死んでしまう。浪人の持っていた骨壺の中身を狙っての事なのか?
関八州にその名を轟かす大悪党・関東五郎右衛門が捕縛された。しかし五郎右衛門を奪還すべく子分たちが現れ、抵抗むなしく役人たちは殺されてしまう。村を守るため、住人は五郎右衛門を人質に立て籠もるが...。
幕府から絶大な信頼を受ける豪商・榎屋。その榎屋の隠居が浪人に襲われる。しかし返り討ちにあい、傷を負ってしまった浪人は偶然弥九郎に救われる。はたして浪人が榎屋を襲った理由とは何か...。
ある日、瑞光院に侍が逃げ込んできた。侍を追う一団が現れ瑞光院を襲うが、刀舟により撃退される。そんな時、長屋の人々が次々に倒れ始め、疫病と判断した刀舟は感染者を隔離すべく動くのだが...。
本田庄五郎は奥女中・お由紀との仲を監物に咎められ、出羽高畑藩への潜入を命じられる。それは出羽高畑藩を取り潰すための陰謀だった。十年後、宿場の用心棒になっていた庄五郎のもとにお由紀が現れ...。
ある日、瑞光院に二人のヤクザが現れ、「うわばみの兄弟が八丈島から帰って来た」と刀舟に伝言する。二人は以前、刀舟に斬られた盗人うわばみの丈吉の弟だった。二人は石切場を爆破するなど悪事の限りを尽くし...。
弥九郎とお竜は、河原で一人の女の死体を発見する。なんとその女は顔の皮がはがされていた。検死した刀舟は、その見事な斬り口に疑念を持ち、長崎時代の友人で外科医である良石に相談するのだが...。
江戸の米の価格が上がり庶民が困窮していた。その裏には、勘定奉行とグルになった越前屋の買占めがあった。その真相を知った瓦版書きは越前屋によって殺され、その現場を偶然目にしてしまった少年に危機が迫る。
小伝馬町の牢屋に火災が起き、囚人たちが解き放たれる。その中に刀舟の友人・蘭学者の山野伯英がいた。そんな時、浦賀にアメリカの船が現れる。弥九郎は進んだ医術を学ぶため、アメリカ行きを決心するのだが...。
今から三年前、将軍家の御鷹匠を勤める相良一平は、同じく御鷹匠であった藤堂将源の陰謀により失脚、切腹し家は廃絶した。そしてその息子・新之介は旅籠屋の帳場を勤めながら、お家再興を夢見て生きていた。
長屋にコレラが発生し、刀舟は懸命の治療を行っていた。しかしその機に乗じて、長屋を焼き払いそこに岡場所を作ろうと画策する者がいた。関八州取締役・矢沢剛之進と、ヤクザの親分・勝五郎である。
ある日、弥九郎とお蘭が辻斬りに襲われる。しかし逆に弥九郎にやり込められ、辻斬りは傷を負う。辻斬りは治療を受けるが、なんとその正体はさる大名家の当主であった。そして家老を名乗る男が現れるのだが...。
ある日、母と娘が留守をまもる家に、雨宿りを頼んだ侍たちがいた。どうやら幕府の役人らしい。しかし役人は悪辣にも母を手篭めにした上、惨殺する。あまりの恐怖と衝撃に、娘は口が利けなくなってしまい...。
瑞光院に疫病と思われる女が運ばれてきた。しかしその女は牢を逃げ出した囚人だった。事情を聞くと、女は疫病の発生した村に看病のため派遣されたが、疫病が収まらないため、村ごと代官に殺されたというのだ。
失踪した父親を捜すため、江戸にやってきた新之助。だがその道中、射撃の練習をする侍たちを見てしまい、殺されかける。お竜に助けられた新之助は刀舟に預けられるが、それは幕府の中枢を動かす陰謀であった。
近江屋の娘・お妙が謎の浪人たちに誘拐される。浪人たちは娘の身柄を引き換えに米蔵を開放せよと迫る。浪人たちの正体は、西国を揺るがした大塩平八郎の乱の残党たちだった。しかし、お妙は心臓病を患っていて...。
蔵前の米問屋の越後屋主人が何者かによって殺された。現場に駆けつけた刀舟は、そこで折り鶴がついたかんざしを見つける。調べを進めると犯人は、なんと三姉妹であった。殺された両親の仇討ちだったのだ。
刀舟は瀕死の男を助ける。男は金の吹き替え職人で、現場から逃げ出し追われていたのだった。男は死の間際に十両の小判を刀舟に託す。しかしその小判は金の含有量が低い吹き替え小判であることがわかり...。
小伝馬町の牢が火付けされ、解き放された囚人たちが金座を襲う事件が起きた。その犯人は同心・小田仙之助。そしてその裏には絵馬問屋・竹造と側用人・松平大膳がいた。仙之助は阿片によって操られていたのだ。
ある日、お蘭が心中死体を見つける。それは勘定所役人・小沼と女中のおとよであった。しかし刀舟はそれを他殺だと判断する。その頃、同じく勘定所の役人・稲葉新之進は吟味役西前監物の不正を暴かんと策を練っていた。
幼い兄弟が暴れ馬にはねられ、弟が崖に転落した。弟は刀舟のもとで治療を受けることになるが、どうやら二人は父の仇を探して旅をしているらしい。そんな中、兄弟の仇が江戸に潜伏しているとの情報が入る。
旗本馬族雷組と名乗る侍の集団があった。彼らは旗本たちの次男と三男坊で、溜まった鬱憤を町人相手に晴らしていたのだった。北町奉行所の同心・河合澄人は雷組の横暴を諌めるため、老中に直訴を決行する。
荒川の工事現場で土砂崩れが発生した。しかし普請場の役人は医者を呼ぼうともしない。普請を命じられた新城藩は市井の人々を強制労働させていたのだ。そんな中、一人の民が医者を求めて普請場を脱出する。
宿場町でのヤクザの縄張り争い巻き込まれ、旅の老人が怪我を負い、刀舟によって助けられる。この宿場ではヤクザが暴虐を極めており、人々はそれを恐れるあまり、八州取締役にすら助けを求めずにいたのだ。
ヤクザに袋にされている若者を遊女のお蝶が助ける。若者の名は伝次、しがないチンピラだ。刀舟のもとで治療を受ける伝次だったが、そこに兄の猪之吉が訪れ、職も持たずに暮らす伝次を激しく叱るのだった。
将軍家拝領の文箱が紛失する事件が起こった。佐吉郎はその責で切腹しようとしていたが、実は文箱は盗まれたと知る。逃げ出した佐吉郎は刀舟に助けられるが、これは高家白川家の相続にまつわる陰謀であった。
江戸に大きな火災が起き、混乱の中、質屋の甲州屋が殺される。犯人は弥之吉。借金のカタに甲州屋に囲われた幼なじみのお夏を助けるためだった。それから五年後、島送りになった弥之吉が江戸に戻ってきた。
彦作は生活苦で、娘のお春を女郎屋に奉公させる。しかし彦作は村へ帰る途中、ヤクザものに金を奪われてしまう。娘を売ってまでして手に入れた金を盗られた彦作は死のうとするが、通りかけた刀舟に止められ...。
将軍ご献上の松茸御用の列をある子供が横切り、無礼討ちにされそうになる。あわやの所で子供を助けたのは、俵担ぎの矢吹多聞だった。実は多聞は浪人となった侍で、病気の妻を抱えているのだった。
お竜がお稲荷さんの裏で倒れていた女を見つける。その女はお琴といい、偶然にもお蘭の幼馴染であった。お蘭からの知らせを受け伊助が迎えに来るが、帰ってみると二十両もの金が盗まれていたのだった。
ある日、瑞光院で若い侍が切腹しているのが発見される。その正体は大番頭・柿原織部の家臣・稲垣新三郎だった。そして時を同じくして、柿原家で女中のおゆきが自害していた。どうやら二人は恋仲であったようで...。
刀舟のもとに高科藩内藤首里の側室お冬の方が訪れ、子の義千代を救ってくれという。お抱え医師も匙を投げたというのだ。検診した刀舟はヒ素中毒の疑念を抱く。その裏には、高科藩を覆うどす黒い野望があり...。
刀舟のもとに矢傷を負った男の死体が運び込まれた。十数か所に及ぶあまりに惨い矢傷に、刀舟は疑念を抱く。どうやら砂金目当てに入り込んだ中津川の上流で、謎の侍たちに襲われたようだった。
高岡六造という男が殺された。六造はその息子一馬と和泉屋との間の秘密を握り、和泉屋を脅していたのだ。その秘密とは、試験問題の漏洩であった。立身出世を願う者たちが最も望むもの、それが試験合格であった。
瑞光院に投げ込まれた女の死体、その身には無数の火傷の跡があった。疑念を持ち調べる刀舟たちの前に、恐ろしい真実が見えてくる。女たちは、年貢のカタに競売にかけられ、旗本たちの慰みものになっていたのだ。
夜鷹そばの源吉が鞭を振る女に襲われ、屋台まで取り上げられてしまう。しかし源吉は刀舟にその理由を話そうとしない。お蘭によれば、その女は江戸市中に力を持つ赤沢十兵衛の女・お銀だという。
突如として江戸の街を地震が襲う。恐れおののく人々の前に、謎の僧が現れ、二十日後に大地震が起こると予言する。人々は僧の助言に従い米の買いだめに走るが、その裏には米の暴騰を計る陰謀があった。
人々が行き交う街の片隅に、老侍が仇討ちのため張り込んでいた。しかし肝心の仇を前に老侍は追いつくこともできず倒れこむ。老侍は通りががった半兵衛、お竜により瑞光院へ連れてこられるが...。
百度参りをしていたお信乃という女が謎の男たちに襲われ、お蘭に救われる。その後、千住、深川、浅草など広範囲で子供の熱病が発生し、なんとその原因はお信乃が毒をまいたからだというのだ。しかしその裏には蓬莱屋の影があった。
霞の黒兵衛と呼ばれる悪党が小伝馬町の牢より脱獄する。奉行所の同心・杉山は、黒兵衛の狙いは目明し善七と目星を付けていた。しかし、黒兵衛の脱獄の裏には、回船問屋の淡路屋が企む陰謀があった。
若年寄り小幡備前守が浪人に襲われる。浪人の名は矢沢哲之介、生きるために人斬り稼業に身を落としていた。矢沢にはお秀という一人娘がいたが、お秀は口を利くことが出来ない病気にかかっていた。
江戸の町を大火事が襲った翌日、町火消しの仙之助がお蘭の元に助けを求めてくる。仙之助は町火消し「と組」の連中に殺されかけたというのだ。実は仙之助は復讐のために火消し達を調べていたのだ。
呉服問屋の美濃屋が盗賊に襲われ家人が皆殺しになり、居合わせた元同心・宇津木主水も手傷を負う。刀舟の元で治療を受ける主水を娘の許嫁で火盗改め同心の小森陽之介が見舞うが、主水はその後急死し...。
半兵衛の療養のために福島の温泉地を訪ねた刀舟たち。そこに侍に追われる村人が現れ、「はたを織る音が聞こえるところ」という伝言を残して死ぬ。どうやら沼に投げ込んだものに関連があるらしいが...。
刀舟の元に井筒屋女将おさちが運び込まれる。どうやら逆子らしく、切開して子供を取り出すしか方法がない。そんな時、刀舟の弟弟子の三村淳良がやってくる。淳良は刀舟を上回る腕の持ち主であるというが...。
女だけの旅芸人一座が瑞光院にやってきた。盛り上がる刀舟たちだったが、座長の春駒太夫は持病の癪で苦しんでいた。刀舟は結石ではないかと疑い、手術を勧めるが、春駒太夫は頑として受け付けず...。
歯科医の手嶋道順は、貧乏人からは治療費を取らない「どぶ沼の道順」と呼ばれる偏屈医者。道順には娘のおこうと武七という息子がいたが、武七は父親に反発し名を変え、幕府奥医師の神岡法眼に仕えていた。
ある日、近江屋の手代・仙之助が浪人者に襲われる。しかし刀舟に助けられ、仙之助は九死に一生を得る。どうやら浪人の狙いは、近江屋が得た海産物取り扱いの認可状を奪わんとしたものらしいのだが...。
自ら侍を捨て、江戸市中の文通に己の命を懸けた男がいた。町飛脚・亀沢左内である。しかし、左内は対立する山崎屋の手の者により襲われ、手傷を負ってしまう。なんとか仕事に戻ろうとする左内だったが...。
幕府御用金三万両が浪人の集団に奪われる事件が起こった。その警護をしていた奉行所与力・田島源太郎はただ一人生き残るが、胸には銃弾が残っていた。しかしその浪人たちには隠された正体があった。
膳所藩より江戸に運ばれていた国事犯・青木新兵衛の駕籠が、何者かに襲われる。刀舟の手術により、新兵衛は一命を取り留める。そのころ、刀舟のもとに角兵衛獅子の兄妹が父を探しにやって来るが...。
長屋に源三郎と綾という夫婦が越してきた。ある日、綾が具合が悪くなり刀舟に診察を受けると、妊娠している事が判明する。しかし、そこに喜びはなかった。実は源三郎と綾は決して許されぬ間柄だったのだ。
岡崎和馬と妹のお国は、父・大次郎の仇を討たんと江戸にやってくる。二人を楓という女が手助けしていたが、実は楓は兄妹の仇である家老石黒監物の回し者だった。大次郎は重大な秘密を知っていたらしい。
同心殺しの下手人を探し、元同心の黒岩源八が当たりをつけたのは、ヤクザの万造と大目付の戸上主計頭だった。二人は豪商相手の賭博を開き巨利を得ていたのだが、黒岩には犯人探しの真の目的があった。
長屋に住むお園は息子の粂太郎、中間の銀平と共に暮らしていた。お園は仇を探していたが、心臓の病にかかり、余命三ヶ月と見られていた。そんな折り、親子の前に仇の高倉周五郎が現れるのだが...。
島送りにあった与吉が務めを終えて帰ってくる。与吉は家族のために職を探すが見つからない。そんなとき昔の盗人仲間である疾風の三蔵が与吉の息子長吉を誘拐し、与吉に錠前破りをしろと脅すのだった。
顔火消しの赤鞘組は、有力旗本堀田監物の力を背景に市中で我がもので闊歩し、ことあるごとに町火消しのと組と対立していた。実は、赤鞘組は材木問屋の山代屋と組んで火付けをしていたのだった。
男子禁制の大奥で力を持つ年寄りの琴路は、御用達独占の見返りとして上総屋に美少年狩りさせていた。上総屋番頭の佐吉がその始末をしていたのだが、琴路が次に狙ったのは、なんと佐吉の弟だった。
刀舟のもとで診察を受ける女郎のお歌は、肺を病んでいた。しかしお歌は刀舟の話も聞かず、仕事を止めようとしない。お歌には金を作る必要があった。それは三年前に愛した男・源七郎のためだった。
八重という女がいた。八重は不自由な体のため、弟の銀次に世話になっていた。姉思いの銀次に迷惑をかけまいと八重は自殺を図るが、刀舟により助けられる。しかし、八重はあくまで死を望むのだった。
富札に当たった仙吉がその祝いの宴で死亡する。町方の調べでははフグによる中毒だったが、刀舟は何者かに暗殺されたとにらむ。そんな折、瑞光院の修復のために富札を発行しないかとの話が舞い込む。
女渡世人お市は、実は串問屋相模屋の娘という恵まれた身だった。お市は3年前、番頭の新三と駆け落ちしようとするも裏切られ、さらに火事により両親を失っていた。それ以来、お市は女を捨てたのだった。
米問屋の越後屋で奉公する源作には島帰りの過去があった。源作は家族のために懸命に働き、過去を隠しながらも今では店の信頼も獲得していた。そんな時、かつて島で一緒だった佐太郎が現れ...。
ある日、小畑村の村民が謎の侍たちによって皆殺しにあう。ただ一人の生き残った宗之助は、小幡村出身で大目付の側室となっていたお八重の方に助けを求めるのだが、実は小畑村には重大な秘密があった。
ある日の夜、瑞光院を謎の侍たちが襲った。侍たちは刀舟によって撃退されるが、そこにはおりんという女が残されていた。おりんは横井という男と落ち合うために、千住の旅籠を目指していたのだった。
地蔵長屋に引っ越してきたお仲は、夫・伊之吉の出所を待ちながら、一人息子の長吉とともに暮らしていた。しかしお仲には秘密があった。実は半年前に長吉の治療費のために、体を売ったことがあったのだ。
汐見藩の幼い藩主が重態に陥り、御用医師の見立てによれば一両日の命だという。用人の上田要之進は、刀舟の噂を聞き救いを求めるが、弥九郎は毒物を盛られているのではないかと疑うのだった。
お蘭がお篠という女を運び込んできた。刀舟はお篠が妊娠していると告げる。相手の男は旗本の長野新次郎。しかし新次郎はなんと、次々と女を騙しては貢がせ、子が出来ると堕胎させるような男だった
浪人・辻平馬が妻の浪江によって斬り殺された。夫の暴力に絶えた末の犯行だという。しかし同心の鬼沢一平はその死に疑問を抱き、刀舟に検死を依頼する。そしてその結果は絞殺というものだった。
蘭学者が次々と何者かに襲われる事件が起こる。蘭学者達を襲ったのは浪人・山崎哲之介と戸村久七郎だったが、どうやら蘭学者を仇としているらしい。しかし、その裏には大きな陰謀が仕組まれていた。
大野屋の手代清三とその一家が心中した。借金を苦にしてのことという。お蘭の調べによると、幕府の人返し令によって窮地に立たされた地方出身者たちが、町名主たちによって苦しめられていたのだ。
両替商の丹波屋宗之助が巾着切り丈次に財布をすられた。丈次は財布をお蘭の帯に仕込み、その後何食わぬ顔で瑞光院に現れる。その財布の中に紙に包まれている小判があったが、それは偽金だった。
同心・沢田源之助は、岡場所で売られている阿片の出所を探っていた。売人を捕らえたものの、逆に謹慎処分を申し渡されてしまう。阿片密売の裏には、なんと奉行と御用商人が関わっていたのだった。
お国、お照、長次の三人は血の繋がらない親子だ。長次は密かにお照を想っていたが、お照は仁村屋の若旦那義助と深い仲となっていた。それを見た長次は、怒りのあまりお照に手をあげてしまい...。
辰巳屋が野ざらし銀治によって襲われる。しかし銀治は盗んだ五千両を隠したまま、黒幕によって殺されてしまう。一年後、銀治の娘お考が銀治の罪により島流しにされることとなり、お考は自殺を図るが...。
葬儀に訪れた浦賀で、刀舟は花嫁人形を手にした男の死体を発見する。そしてその帰り道、刀舟は謎の侍たちに襲われる。どうやら男は遭難した舟の乗組員だったのだが、その裏には陰謀があった。
「梅屋敷」の言葉を残して死んだ辻斬りの被害者。刀舟はその目に義眼を発見する。そしてその義眼はシ-ボルト門下の蘭学医によるものだった。どうやら蘭学者に関わったものが殺されているらしく...。
尾形藩から八田左内と修二郎の親子が姿を消した。実は八田家は公儀隠密であり、百年も前から尾形藩に潜入していたのだ。修二郎はその事を厭い逃げ、左内は息子を討つために追っているのだった。
突然の雨から逃れた水車小屋で、お銀とお藤の二人は謎の侍に陵辱される。そこに残された侍の手掛かりは、将棋の銀の駒だけだった。五年後、お銀は女郎に、お藤は大店の女将になっていた。
ある日、フウテンのお京がスリとった財布をお蘭の懐に忍ばせる。財布に気づいたお蘭が中に入っていた粉を刀舟に渡すと、なんとそれは阿片だった。刀舟は近頃江戸で蔓延する阿片とのつながりを疑うが...。
半狂乱になり暴れた町人を、お蘭と半兵衛が瑞光院に運び込んできた。刀舟はそれを「はしりどころ」による中毒だと診断するが、実は薬園奉行と薬商による新薬開発のための人体実験にされていたのだった。
蔵前の米問屋越後屋が辻斬りに襲われるが、その現場を目撃している者がいた。それは女郎のお加代である。お加代は浪人で元医師である倉之助の妻だったが、生活苦のため、身を売っていたのだった。
正二郎という瓦版書きが口封じのためヤクザに袋叩きにあう。しかも、奉行所からも瓦版の発行を禁じられてしまう。正二郎が掴んだネタは、回船問屋の渡海屋と武蔵屋が絡んだ異国との密貿易だった。
小浜藩の御前試合に参加した浪人の太田新之丞は決勝で敗れ、悲憤の末に切腹を図る。実は、新之丞は仕官目的で御前試合に参加し、その参加費用をなんと妻を売ることで捻出していたのだった。
十年前、元会津藩士・桂木源之助、新太郎親子が襲われ、源之助が殺された。会津藩の漆木に関する陰謀を知ったためだった。そして現在、成長した桂木新太郎が刀舟に会うため、瑞光院を訪れる。
佐渡に三日コロリと言われるコレラが発生し、死者が続出していた。恩師・早崎道庵の願いを聞き、刀舟はお千を連れて佐渡に渡る。だがその行く手には、金山開発に絡む意外な事件が待っていた。
佐渡送りになったおりんの夫・巳之吉を救おうと、お蘭と半兵衛も佐渡へ向う。そしてお蘭たちは武家の娘・お京に出会う。一方、刀舟たちを狙う謎の虚無僧の正体は公儀隠密・湯浅平馬であった。
富士見藩の奥女中と侍たちが、一人の浪人に襲われ全滅する。奥女中は赤ん坊だけは助けてくれと頼み、浪人はそれを受け入れてしまう。しかし、その赤ん坊こそ、殺しの依頼主の狙いだったのだ。
幕府により石垣修理を命じられた諸藩は、その負担に苦しんでいた。そんな中、老中稲葉大炊守は小泉藩と麻田藩の留守居役に対し、普請免除の条件として「栄次郎の赤絵皿」を要求するのだった。
江戸で火付け騒ぎが起こっていた。そんな時、半兵衛が裸足でさ迷う女を見つける。その女は材木問屋大和屋の娘・お雪。弥九郎は「夜歩き病」ではないかと疑うが、お雪は火付けの罪を着せられてしまう。
小間物職人の平吉は義父殺害の容疑をかけられ、それを見逃してもらう代わりに南町奉行所の密偵になっていた。そしてヤクザの抗争の中に送り込まれるのだが、義父殺しは南町奉行の陰謀だった。
謎の虚無僧集団により、寺から仏像が盗まれる被害が続発した。そんな時、弥九郎は幼なじみの奈美に出会う。弥九郎はかつて奈美に火傷を負わせたことがあったのだ。そして奈美は仏像盗賊団の一味だった。
蝋燭問屋辻屋の荷馬車が襲われ、番頭の喜八が重傷を負う。弥九郎に助けられ喜八は九死に一生を得るが、刀舟はその斬り口に不審を覚える。そのころ江戸では「絵蝋燭の祟り」という怪現象が広まっていた。
吉崎島之介は失踪した妻のお千勢を捜し、江戸に流れ着いていた。そのころ、江戸では野菜の価格が上がり、庶民の生活を苦しめていた。賄方と青物問屋が野菜を買い占め、値を吊り上げていたのだ。
斬られて崖から落ち怪我を負った侍が、瑞光院にかつぎ込まれた。刀舟の手当により命に別状はなかったが、侍は記憶をなくしてしまう。侍が唯一思い出すことは「鈴の音」であり、鈴の音を聞くと恐怖に襲われるという。
土佐から榊大介が修行のため刀舟のもとにやってくる。一方そのころ、地蔵長屋では島崎左平次の妻・お滝が病にかかる。このお滝、実は元岩田藩主のお手つきで左平次に下げ渡された拝領妻であった。
江戸で米高による不満から、米問屋への打ち壊し騒ぎが次々と起こっていた。女目明し"業平橋のお京"は、原因を探るうちに十三年前に起きた相模屋での殺人事件との繋がりに気付き始めるのだった。
島帰りの弥七は、真人間になろうと懸命に働いていたが、目明しに目を付けられているため定職に付く事が出来ない。なんとかお蘭の口利きで働き始めた弥七だったが、そこへかつての盗賊仲間が現れる。
深川に歌吉という人気の芸者がいた。歌吉は祝言の日に、夫を脱牢者たちに襲われ殺された過去があった。そんなとき、米問屋殺しが次々と起こる。そして現場には必ず紋入りの紙が落ちていた。
長屋に住む長次は、病弱の父と姉を抱えて世を恨み、不満ばかりでろくに働こうともしない。そんなある日、ねずみ小僧を名乗る押し込み強盗が出没する。しかしこのねずみ小僧は、義賊とはかけ離れていた。
ある日、商人が辻斬りに襲われ、お蘭と通りすがりの町医者の橘昌石に助けられる。昌石の自宅にお蘭が行くと、なんとそこには幼なじみであるおすががいた。おすがは、昌石の妻だったのだ。
足抜けをしようとした女郎のお妙が追手に捕まった。通りがかった半兵衛とお千は、お妙の口から刀舟への助けの言葉を聞くのだった。お妙は愛する男・新吉を助けるため、刀舟のもとへ向かっていたのだ。
似顔絵師のお雪が、刀舟の似顔絵を描いている最中に吐血し倒れる。半年の余生と見る刀舟だったが、そのころ江戸市中では、藩札の乱発による不渡りから、町人の間で自殺者が相次いでいた。
江戸に、"かまいたち"と名乗る盗賊が出没していた。かまいたちは、決して人を殺さず、なんと借用証を置いていくため、借金強盗と言われていた。そんなとき、刀舟は島田左内という浪人に出会う。
飛脚問屋丸十の飛脚が次々に襲われ斬り殺される事件が起こる。丸十の飛脚・幸太は結婚を間近にしながら、仲間のために犯人をさがしていたが、その原因はなんと幸太が拾った瑪瑙(めのう)にあった。
ある日、大介とお千がヤクザに襲われていた煙草売りの佐七を助けた。佐七は花火職人だったが、お美和という女を捜しているという。そのころ江戸では放火がはやり、材木の価格が上がっていた。
江戸を騒がすヤクザ一家の抗争があった。その一方のあげは一家では、対立する榎の政吉を殺そうと清次を暗殺者として雇う。清次はまんまと政吉を殺すが、その際に妾のお園に傷を負わすのだった。
お千が、おりんという女に再会する。おりんは昔、お千とともに踊り子をしていたが、借金を踏み倒し、男とともに逃げていたのだ。おりんは流されやすい性格で惚れっぽく、お千も心配していたのだ。
大介がおつたという女を瑞光院に連れて来る。刀舟はおつたを心臓の病とみるが、そんなおつたのもとに前科持ちの前夫・紋次が現れる。紋次は今の夫である己之助に難癖をつけ、ゆすりをはたらくのだった。
不治の病と思われていた労咳に効く薬があるという。それは、渋江南山という医師が作った寶壽精というもので、高価だが飛ぶように売れた。だがその薬を手に入れた刀舟は、分析して驚くのだった。
大介と半兵衛は、山道で修験者に襲われ気を失った女を助けた。瑞光院へ運ぶものの、刀舟の手当てもむなしく死んでしまう。残された言葉は"絹"、その死の裏には公儀の禁ずる絹織物が絡んでいた。
大介が謎の侍たちにさらわれる。侍たちの屋敷で目覚めた大介は、そこで傷を負った女の手術をするように強迫されるが、その女の傷は鉄砲によるものだった。江戸では鉄砲が密かに流通していたのだ。
呉服問屋の備前屋信兵衛が何者かに襲われた。刀舟に助けられた信兵衛は、なぜか番屋に届けようとはしない。賊に息子の定二郎がいたからだ。定二郎は道を踏み外し、ついには阿片に手を出してしまう。
お蘭が酷い傷を負った女を見つけ、瑞光院へ運びこんだ。女の名はお袖。悪い男に絡まれて怪我をしたというが、刀舟はその傷に疑いを持つ。女は実は夜桜のお袖という盗賊で、男に拷問されていたのだ。
大介は、兄を探して旅をするお志乃という娘を助ける。大介と別れたあと、お志乃は兄の居場所を知っているという男に会い、ついていく。そこは岡場所だったのだが、お志乃はそこで突然倒れてしまう。
ある夜のこと、刀舟たちは殺された男を発見する。男は刺青を持つ前科者で、懐には手形の紙を持っていた。その後、やはり手形を持った男が殺される。どうやらこの手形に秘密があるようなのだが...。
呉服問屋近江屋の番頭・喜十郎が殺され、その死体には赤い矢が刺さっていた。そして次には藤堂藩に奉公する女が赤い矢を刺され殺された。この事件の裏には、琉球からの抜け荷に絡む陰謀があった。
鬼の面をかぶり御用金を奪う"鬼面党"は、生田万の乱の残党といわれていた。その捜査に乗り出した同心・真崎慎吾は、お園という娘に再会する。実はお園の父は、生田万の乱の参加者であった。
女郎に売られた少女"つる"は、千住御狩場で人買いから逃げようとする。もみ合うなか、つるが御狩場の立て札を抜いてしまったことで人買いと役人が争い、その隙につるは逃げ出すのだった。
髪結いの女・おりんには夫婦の契りを結んだ男がいた。その男は堀田佐平次。だが佐平次は殺人の濡れ衣を負わされ、佐吉と名を変えて暮らしていた。そんな佐吉を捜し、清川新太郎という少年が現れる。
大御所・徳川家斉が落馬し、暴走した馬によって子供が跳ねられる。子供の診察を阻まれ怒りに燃える刀舟のもとに、大御所を救ってくれと側近の横井蔵人が訪れるが、刀舟はそれを拒むのだった。