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梨山の大蛇

能登半島の珠洲(すず)に梨山という山があり、その山懐には大きな沼があった。沼には太古から天をも突くという大蛇が棲んでいると言い伝えられていた。 その付近一帯は梨山の天辺に屋敷を構えるおやすさま(地主さん)の土地となっており、おやすさまはこの繁栄も大蛇さまのおかげと、日々山の上の祠の前で大蛇さまを拝んでいた。 そんなある夜、庭からおやすさまを呼ぶ声が聞こえる。声の主は何と沼から山頂の屋敷にとどく巨大な鎌首をもたげた大蛇であった。大蛇は沼に千年住んだ自分は次に海に千年住まねばならない。ついては沼を出る際、おやすさまの土地を荒らしてしまうかもしれない、とことわりを入れてきたのだ。 しかしおやすさまは承服できない。さらなる繁栄のため、もう千年、いや二千年沼にいるように大蛇に申し渡す。さらに翌日からは大蛇が沼をでる事のできないように、蛇の嫌う鉄気、すなわち巨大な鉄杭で沼を囲ってしまう。 加えて、それぞれの鉄杭に蛇封じの札を貼る作業を百姓の茂兵衛にまかせた。茂兵衛がおっかなびっくりお札を貼っていると大蛇が現れた。 茂兵衛は腰を抜かすも、大蛇の話を聞く内に気の毒になり、自分の土地なら使ってもよいと申し出る。大蛇は喜んだ。その夜、沼から長大な鎌首をもたげた大蛇は茂兵衛の土地に一旦身を着けると、後はどこにも触れることなく海へと滑り込んで行った。 翌日、茂兵衛の土地は大蛇の接地でめちゃくちゃになっていたが、小山ほどもある大蛇の糞が残されていた。その糞は黄金でできており、茂兵衛はやがて長者となった。一方、守り神に出ていかれたおやすさまの家は、それからしばらくして衰退してしまった。

日本語
  • Originally Aired February 21, 1987
  • Runtime 10 minutes
  • Network MBS
  • Created August 11, 2021 by
    nfmalves11326
  • Modified August 11, 2021 by
    nfmalves11326