少年漫画雑誌で話題を呼んでいる歴史漫画がある。 その主人公は実在の人物で、鎌倉時代末期、 北条家に生まれた若君、北条時行。 北条家は、鎌倉幕府将軍の補佐をする執権の座に代々就き、 幕府の実権を握り続けていた。 当然時行も、その恩恵を受け、生涯安泰に暮らせるはずだったが、 5歳の時、運命が暗転する・・・鎌倉幕府が滅亡してしまったのである。 なんとか鎌倉から逃れた時行は、 やがて北条家と鎌倉幕府を再興すべく、立ち上がるが、 そんな時行の前に大きく立ちはだかった人物がいた。 やがて室町幕府を開くことになる、足利尊氏。 時行と尊氏、二人の戦いは、20年にも及ぶことに。 実は時行には、“逃げ足が速い”という才能があった。 「逃げ上手な若君」とも呼ばれ、何度も窮地に陥りながら、 その度逃げ果せてみせ、尊氏に挑み続けたのである。 時行は、如何にして逃げ延びたのか? 一体、どこに潜伏していたのか? 信州に伝わる、逃げ上手な若君にまつわる数々の伝説とは? そして尊氏のことを憎み続けた時行。 一体、二人の間に何があったのか? 永きに渡る逃亡生活の末に待ち受けていた、時行の悲しき運命とは・・・