2023年5月9日、夫婦漫才コンビ、宮川大助・花子が4年ぶりに大阪・なんばグランド花月(NGK)のステージに帰ってきた。悲願でもあったセンターマイクを挟んで… コンビ結成から44年目のベテラン漫才コンビ、宮川大助・花子は、デビュー直後から数々の賞レースをものにし、漫才師としての「地位」を確立。2017年には、紫綬褒章を受賞、「名誉」も手に入れた。おしどり夫婦として知られ、「幸せ」も手にした2人がどん底に突き落とされたのは今から5年前のことだ。 2018年3月、医師から告げられたのは「余命半年」…宣告を受けたのは、妻・花子(当時63)だった。腰椎にできたがんは、すでに歩くことも困難なほど花子の体を蝕んでいた。周囲にがんを隠しての放射線治療…大助と花子のがんとの闘いが始まった。 病名は「症候性多発性骨髄腫」。血液のがんが全身に広がり、花子は立つどころか、下半身がマヒし、足を動かすことすらできなくなってしまう。それでも花子が過酷なリハビリにも耐えられるのは、大助と共に、またなんばグランド花月の「センターマイクの前に立ちたい」という願いからだった。 一進一退の闘病生活が続くなか、2022年10月。自宅で突然、呼吸困難に陥った花子。救急車で病院に運ばれるも、意識を失い心肺停止寸前の危機に… たくさんの危機を乗り越え、ついにたどり着いた1450日ぶりのNGKの舞台。夫婦が起こした奇跡、5年の記録。 【語り】青葉市子