東京23区内で家賃2万5000円。広さは4畳半、もちろん風呂はない。東京の賃貸マンションの家賃が過去最高の水準に高騰する中、それでも彼らには、この部屋に住み続ける理由がある… 石川県から4年前に上京してきた金子翔さん(33)が暮らすのは、蒲田にある築80年の木造アパート。家賃2万5000円の風呂なし、トイレは共同の4畳半で、自炊をしながらつましい暮らしを続けている。すべては、「俳優になる」「演劇の世界で生きていく」という夢をかなえるためだ。 映画や演劇、俳優を養成するスクールを卒業したものの、時はコロナ禍。俳優としての活動もままならないまま、今は、銭湯の掃除と映画館でのアルバイトで生計を立てていた。しかし、いつまでも変わらない現状に「活躍の場を自ら作ろう」と、自らが主宰する劇団を立ち上げようするのだが… 東中野にある築40年の木造アパートに住むのは、芸能事務所に所属するピン芸人・竹迫ゆうじ(27)。テレビに出て売れっ子芸人になることを夢見ているが、芸歴5年目になっても一向に芽は出ず、家賃2万4000円のゴミだらけの四畳半での生活から抜け出せずにいた。 女性との交際経験がゼロの竹迫の持ちネタは「彼女との妄想恋愛」。客にはまったく受けず、スタッフからは「テレビに出られるネタじゃない」とバッサリ切り捨てられてしまう… 大都会の片隅にある小さな部屋で、大きな夢を追う若者たちを見つめた… 【語り】多部未華子