毎年、約3万人の志望者がいると言われる「声優」の世界。しかし、声優になれたとしても、年収100万円以上を稼げるのは全体の6割にも満たない厳しい現実が待ち受ける。それでも、多くの若者たちが「輝ける未来」を夢見て、それぞれの日々を送っている… 宮城県南三陸町出身の彩さん(31)は、昼は保険事務の派遣社員、夜は養成所に通いながら、声優になる夢を追い掛けている。高校卒業と同時に上京し、公務員として働いていたが、翌年、東日本大震災による津波で兄を亡くし、故郷へ戻ることに。「両親を安心させたい」と、町の職員として6年間働いたが、「人生は明日どうなるか分からないから後悔したくない」と、27歳の時、憧れていた声優を目指し、再び上京、養成所の門を叩いた。 2023年冬…夢を追い始めて4年が過ぎたが、いまだにデビューへの道は開けない。 熱狂的なファンを集め、ライブを行うなど、まるでアイドルのような存在となり、活躍する若手の人気声優たち。そんな世界に今から飛び込もうとする彩さんは30歳を過ぎ、年齢も重い現実として「壁」となっている。 今、通っている養成所も、もうすぐ卒業…故郷の両親からは「いつまで夢を追い続けるのか?」と言われてしまう。 そして、彩さんは、3月に行われる養成所の卒業オーディションに合格できなければ、夢を諦めることを決めた… 一度きりの人生を後悔したくない。夢に向かって懸命にもがく日々をカメラは見つめた… 【語り】成海璃子