53年の長きにわたり、新宿二丁目で営業を続けてきた深夜食堂が、ついにその歴史を閉じる… LGBTQが集う街・新宿二丁目で、午前0時から朝まで営業する「クイン」は、1970年(昭和45年)のオープン以来、名物ママのりっちゃん(78)と厨房を担当する夫の加地さん(77)の夫婦二人三脚で、この街に流れついた人々の心を癒やしてきた。おにぎりや焼き魚…真夜中の優しい味で親しまれてきた店は、この街になくてはならない存在だ。 店の歴史は半世紀を超え、すでに夫婦の体力は限界の状態…それでも「辞めないで」という“二丁目の住人”たちの声に応え、「1年後に迫った賃貸契約の更新までは…」と、満身創痍の体で営業を続けていた。しかし、りっちゃんの座骨神経痛は日に日に悪化。さらに、加地さんがこの夏の記録的猛暑で倒れ、救急車で運ばれる事態に…「クイン」は臨時休業を余儀なくされた。そして、店を再開して1カ月後、入口の壁に張られたのは「閉店のお知らせ」。夫婦は、1年後の契約更新を待たず、2023年9月末に閉店することを決めたのだ。 突然の知らせに驚く常連客たち。店には涙する人も多くいた。 数え切れない孤独や絶望を受け止めて、人々の背中を押してきた深夜食堂「クイン」。 53年の歴史に終止符を打つ決断をした名物夫婦。閉店へのカウントダウンの日々を見つめた…