私たちは真理であるかどうかをどう判定すればよいのか。スピノザが提示するのは、数値やデータではなく「体験」としての認識。近代が切り捨てたもう一つの知のあり方とは? 私たちは、真理であるかどうかをどう判定すればよいのか。スピノザが提示するのは、数値やデータではなく、「体験」としての認識。他者と共有できなくても、体験自体が明々白々と真実性を語るような知のあり方が、科学の一方で、確かにありうるという。第4回は、近代が切り捨ててきた「体験」という知のあり方をスピノザにならって提示し、あらゆるものが数値化、マニュアル化する現代、もう一つの思考のあり方の可能性を考える。