司馬は日本が戦争への道を歩んだ昭和初期を「鬼胎の時代」と名づけ、その正体を見定めようとした。歴史の大きな転換期の在り方を「この国のかたち」から読み解く。 理想の国家建設を目指したはずの日本は、日比谷焼き討ち事件に象徴される肥大化した大衆エネルギーを背景に参謀本部が軍の最高指揮権である「統帥権」の独立という魔法のつえを利用することで、とめどない暴走を始める。それは国家が崩壊にいる破滅への道だった。司馬はこの時代を「鬼胎の時代」と名づけ、その正体を見定めるべく史料と執ような対話を続ける。第四回は歴史の大きな転換期の在り方を「この国のかたち」から読み解く