優柔不断と評されてきたハムレット。しかしその悩みの裏には近代人が誰しも直面する「理性」と「感情」の相克があった。ハムレットを哲学的に読み解き悩みの真実に迫る。 「優柔不断な青年」と見られがちなハムレット。しかし、行動をためらうのには大きな原因があった。そこには中世から近代へ向かうに際し、近代人としてのアイデンティティーを確立しようとする人たちが不可避的にぶつかる問題があった。ハムレットのちゅうちょは「理性」と「感情」の相克という近代人の宿命に根ざしていた。第1回はハムレットが行動をちゅうちょする場面を詳細に振り返りながら「ハムレットの悩み」の真実に迫る。