「昆虫記」1巻を飾る「フンコロガシ」の研究。ファーブルはその生態から自然の中に秘められた見事なしくみを洞察した。第1回では生命それぞれに与えられた役割に迫る。 「昆虫記」1巻では「フンコロガシ」を観察した思い出が語られる。なぜ彼は、フンを食べるような昆虫に愛情を注いだのか。ファーブルが育った村は家畜のフンだらけだったが、それを汚いという人はいなかった。家畜によって人間が生かされていることをよく知っていたからだ。全ての生き物は平等であり、それぞれの役割がある。それがファーブルの信念だった。第1回では、ファーブルの昆虫へのまなざしから、その生命観を描く。