孤独は漱石が生涯をかけて追ったテーマだ。漱石は文明の発展が人の孤独を加速させると考えていたからだ。第1回では漱石の英国留学の経験から自意識と孤独について考える。 信頼していたおじに裏切られ、また親友を裏切ってしまった先生は他人のエゴと自分のエゴの醜さを痛感し、人を信じることが出来なくなっていた。先生は自意識が高かった。そのため悩みを抱え込み、他人に胸襟を開くことが出来なかった。孤独は、夏目漱石が生涯をかけて追ったテーマだ。漱石は、文明の発展が人の孤独を加速させると考えていたからだ。第1回では、漱石の英国留学の経験から、「こころ」に描かれた孤独の正体に迫る。