物語の最後、グレーゴルは家族の厄介者になり、ついには死ぬ。そこには現代の社会にも通じる現実が鮮やかに記されている。第3回では居場所を失う時の恐ろしさを描きだす。 「変身」では話が進むにつれ、虫になったグレーゴルが人間扱いされなくなる。最後には妹までもが「あれはもうお兄さんではない」と叫ぶ。もはやグレーゴルは、やっかい者以外の何者でもなかったのだ。そこには、現代の社会や家族にも通じる現実が、鮮やかに描かれている。例えば親の介護に疲れたとき、グレーゴルの家族と同じような気持ちになることはないだろうか。第3回では、居場所を失ってしまった時の恐ろしさを描きだす。