病室から穏やかな海が見えた雄勝病院。東日本大震災で屋上まで津波にのまれ、患者と職員の9割が犠牲になった。医師や看護師たちは、自力で逃げられない患者を置いていけないと、住民の制止を振り切って病棟に向かった姿が目撃されている。地域医療の拠り所だった町の病院。“あの日”までここにはどんな日常があったのか。残された遺族や同僚は、“その後”をどう生きてきたのか。震災12年、初めて語られる心の内に耳を傾ける。