ブラジルW杯に、特別な使命を背負って出場する国がある。元日本代表監督イビチャ・オシム氏が後押しし、今回初出場を果たす旧ユーゴスラビアの小国・ボスニア・ヘルツェゴビナ。90年代、民族紛争から死者20万人という内戦を経験し、国内では今も根深い対立が続く。こうした中、かつて敵同士だった民族がパスをつなぎゴールを目指す代表チームは、共存への可能性を示す唯一の存在と言われる。サッカーは、終わりなき対立の日々に何をもたらすのか。ボスニア人々の熱い一夏を記録する。