津波と原発事故で大きな被害を受けた東北沿岸部。そこに姿を現したのは完成まで1年を切った総延長500km超の高速道路“復興ハイウェイ”だ。復興の象徴とも言える高速道路。周辺の町ではヒト・モノ・カネの流れに変化が生じている。最大規模のかさ上げ工事が行われた岩手・陸前高田では未だ利用予定のない広大な空き地の活用のために、市外から人や会社を呼び込み発展させる方針だ。宮城・気仙沼では水産関連企業が高速道路で生き残りをはかる一方、経済圏が広がり東京から大手が進出し新たなせめぎ合いが起きている。福島・双葉町は帰還する住民の雇用確保の第一歩として町の負担で常磐道にインターチェンジを新設、また富岡町では廃炉従事者向けアパートの建設ラッシュによる地価上昇も起きている。震災から9年、巨額投資の復興によって町やなりわいは震災前とは別のものに姿を変えようとしている。被災地が1本でつながるハイウェイを行き、そのドラスティックな変貌から“復興後の被災地”を描く。