中国政府の発表で「反革命動乱で319人が死亡した」とされている天安門事件。 30年たった今も、中国では事件に触れることはタブー視されていて、民主化を求める丸腰の市民を、なぜ、どのように武力で鎮圧したのか、詳細はわからないままだ。 今回、NHKはその真相に迫ろうと、中国や世界各地に当事者を訪ね、新たな史料を探し出した。そこから見えてきたのは、事件の前から周到に配置されていた軍の姿や、政権内部の権力闘争の一端だった。さらに、西側各国の外交文書からは、欧米の指導者が改革開放を進める中国との経済関係を重視し、表向きは非難しながら、水面下で緊張関係の回避を図ろうとしていた実態も浮かび上がってきた。 天安門事件による民主化の挫折は、中国の人々に深い傷を残し、その後共産党が強権的な一党支配を進める素地を作ったと言われる。 番組では、大国・中国の運命を決めた50日間を再検証し、天安門事件めぐる数々の謎に迫る。