高さ160メートルを超す超高層ビルの建設ラッシュに沸く東京。平成に完成したビルは100棟に迫り、続々と建設が進んでいる。平成の初めにバブルがはじけ、地価が暴落して不良債権の山と化した東京が、なぜ“失われた20年”の中で超高層シティーへと姿を変えているのか。実は、平成前半に行われた民間の2つの再開発がターニングポイントとなって、国が高層都市化へと大きく舵を切っていたことが取材で明らかになった。 一つは「丸の内」。特定の区域内の土地の容積率を“買う”という国内初のウルトラCで新丸ビルはじめ6棟の超高層が建った。もう一つは「六本木ヒルズ」。莫大なコストを覚悟の上で、法定基準以上の耐震性能を施し、グローバル企業の日本離れを食い止めた。当時の開発に関わった企業や行政のトップたちが実像を語る。 平成を象徴するこの2つの開発の成功は、都市開発を目的とした「特区」の創設へとつながり、渋谷や品川、虎ノ門など、続々と巨大開発を生み出している。 バブル崩壊後に日本が生き残るための数少ない処方箋だった高層都市化。それは日本の発展の象徴となるのか、それとも過剰な開発となり再びバブルを呼び起こすのか。その光と影を検証する。 リポーター・有馬嘉男キャスター