平成に入って最悪の被害となった西日本豪雨。突きつけられたのは、もはや「数十年に1度」という言葉では収まらないほど“異常”が常態化した気象の姿と、これまでの対策では被害は抑えられないという現実だ。岡山県倉敷市真備町では、町の広い範囲が短い時間で浸水し、被害の全体像が掴めない状況が続いた。ようやく水が引いた後の取材や専門家の調査から、水が流れ込むと、排水が進まない地形で起きる「長期湛水」が被害拡大の背景にあることが浮かび上がってきた。広島や愛媛などで相次いだ土砂災害は、かつてない「広範囲」「同時多発」で発生。ライフラインを寸断し、避難も救援もままならない状況を引き起こした。豪雨被害が、いつどこでも起きうる時代に、命をどう守っていくのか。差し迫った事態に直面したとき、どのように避難するべきか。被害地域への緊急取材と検証から、改めて考える。