従来の想定が一切通用しない深刻な事故となった東京電力・福島第一原発。事故は、地震と津波の被害への対応を行っていた福島の人々を直撃。政府が情報の精度を求め、パニックによる事態の悪化を恐れるあまり地元の人々には不十分な情報しか与えられず、混乱のなか人々は翻弄され、その過程で命も失われ、15万人が避難を余儀なくされた。 事故から一年がたち、政府の事故調査委員会が中間報告で国や東京電力の責任を指摘するなど、原発事故をめぐって、あの時なにが起きていたか、何が危機を悪化させたか、ようやく真相が明らかになりつつあるが、一方で、それが住民の生命・安全・健康と直接かかわる「避難」やそのための「情報伝達」にどのような影響を与えたかについては依然として不透明なままである。 番組では、住民、地元の医療関係者、消防団員、自治体の長、東京電力や政治家等、当事者の証言を元に、現場がどんな困難と直面し、何を思い、どう動いたのか。事故直後の出来事を複眼的な視点から再構築し人間の行動記録を描きだす。今後、事故を繰り返さないための教訓を探る。