海から5キロほど離れた宮城県石巻市内のある地区。ここに去年10月、およそ70人の犠牲者を悼む新たな慰霊碑が建てられた。海から離れたこの内陸の集落でなぜ、これほど多くの人が亡くなったのか…。最新の研究によると、深刻な被害をもたらしたのは「河川を遡上した津波」だったことがわかってきた。この地区のそばを流れる川の堤防が決壊し、集落に甚大な犠牲をもたらしたのだ。あの日、「河川津波」は、海が見えない内陸のまち、いわば“死角”を次々と襲い、多くの犠牲者をだした。宮城県多賀城市では、都市に入り込んだ「河川津波」の恐ろしさも見えてきた。陸より速くまちに進入し、海を背に避難しようとした人たちの前に突如として出現。その後、海からの津波と合流し、コンクリートの建物や道路の間を流れて複雑な動きとなり、四方八方から人々を襲ったのだ。さらに、分析を進めると全国各地に同様の“死角”が数多く存在することがわかってきた。南海トラフ地震のシミュレーションでは、河川が街中に入り組む大阪府で、最大で13万人が犠牲になるという結果が出て、急ピッチで対策が進められている。番組では、当時の証言や映像によって「河川津波」を再現。今後、大きな被害をもたらすおそれがある「死角」を明らかにし、警鐘を鳴らす。