なぜこれほど長い時間がかかったのか―。58年前に一家4人殺害の犯人とされ,半世紀以上を死刑囚として生きた袴田巌さん(88)。ようやく開かれた再審で10月9日、無罪が確定した。弟の無実を信じ、裁判のやり直しを求め続けたのは姉のひで子さん(91)だった。長年にわたる拘禁で精神が蝕まれ、会話もままならない弟を支えながら、重い司法の扉を叩き続けた姉。長期にわたり2人に密着、無罪を勝ち取るまでを追った記録。