谷口ジロー、参謀、オケラは、京都駅で白タクを働く愚連隊だ。ある日ジローは、愚連隊の大先輩で務所帰りの杉山に出会った。杉山は十五年の刑を終え、仲間の本村の所へ戻って来たが、かって杉山の情婦であった由美が今は本村の妻となり幸福に暮しているのを知ると、ジローらと共に白タク稼業の仲間入りをした。そんな杉山に仲間の一人ケンは、強くひかれた。終戦の落し子ケンにとって、杉山は父のように思えたのだ。一方、ジロー、参謀、オケラは、倒産寸前の西川織物の社長と組み、債権者をごまかそうと企んだが、地まわりのヤクザ王城会の黒川、玉井らにより煮湯をのまされた。せっかくの儲けをとられたジローらは、女にかけては強い大隅を使い売春組織を作って、かせごうとした。そんなジローらに杉山は反撥し、彼らとの間にギャップを深めていった。次第に杉山は、彼らの中でやっかいものとなった。そんな杉山に務所仲間の横田が仕事をもちこんだ。某製薬会社の原薬を奪取するのだ。計画は見事成功した。だがまたしても、大隅の密告により、黒川らに甘い汁を吸われた。杉山はケンらと新しい生活へ出発するため、金が欲しかった。杉山はケンと原薬を秘かに運び出そうと企てたが、黒川に見つかり殺された。ジロー、参謀、オケラの胸中もおだやかではない。初めてヤクザへの反撥が燃えあがった。製薬会社と黒川らの取引きの日、一千万円をかっぱらって、車を走らせるジローの車を追いかける黒川の車。行く手は工事中の高架線だ。ジローはハンドルをきった。追って来た黒川の車は、宙に舞い、落下した。そして、ジローの車も一千万を積んだまま、メラメラと燃えあがった。体を張った彼らの夢の最期であった。
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