出所を明日にひかえた笈田は、公金横領罪の千石から「三千万円山わけ」の話をもちかけられた。かつて銀行員であった笈田は、何のバックも持たず上役の令嬢洋子を口説き婚約にまでこぎつけたが、交通事故を起し獄中にあった。失った幸福を金で買い戻そうと決心した笈田は、千石の言葉に従って、出獄すると彼の情婦歌子を訪ねた。だが歌子は“訳はいえないが、三人の男を殺して”と頼み、報酬は千五百万円だともちこんだ。三人の男のうち第一の男風太郎の元木は、元警官であったが、彼が検挙した犯人の妻とよ子への同情が愛にかわり、ついに身をもちくずしたのであった。追求する笈田のすきを見て逃げた元木は、何者かに殺害された。笈田は元木の下宿を訪れ孤児となった元木の娘巴を見出した。巴を連れ第二の男梅ケ谷をストリップ小屋に訪れた笈田は、梅ケ谷が外国人の宗、金に追われ行方をくらませたことを知った。梅ケ谷を捜し出した笈田だが、彼もまた口をとさしたまま、宗らの手で殺害された。こうして二人は、笈田の手を貸りずに消えた。翌日第三の男、元ボクサーの冬島を訪れた。笈田に脅迫された冬島は、意外にも事の真相を告げた。二年前職業安定所で知り会った彼らは、千石の計画で、宗、金らの麻薬取引場を襲い三千万円を強奪したのだった。そしてその金は千石が隠したというのだ。笈田は千石の真意を知って愕然とした。その時冬島を宗らが襲った。死闘の末金と冬島は死んだ。だが宗は巴を囮に三千万を要求して来た。千石の出獄をむかえた笈田は、金のかくし場所に案内させると、三千万を中に、初めて男と男の対決をせまった。金にきれいも汚れたもない、この金は、巴と笈由が事故死させた男の未亡人奈津子に与えよう。笈田は千石という男を知った時そう決めたのだ。死闘の後冬島から金を奪った笈田は、巴を救け出すと金をもたせて、奈津子のもとへ走らせた。
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