東都大学のボート部員清水邦夫は、練習の帰り道、何者かに追われる少女を助けた。少女は何も言わずに、自分の落した財布を邦夫に預けたまま立ち去っていった。それから数日後、少女は邦夫を訪ねて来た。少女は西沢友子という玩具工場の女工であった。自然、友子に愛情を感じるようになった邦夫だったが、何故か、友子は自分の過去を語ろうとはしなかった。ある日、ボーリング場に出かけた二人は、友子の友人と称するテンピラに、声をかけられた。邦夫は、「友子は感化院上りだ」という勇の言葉に悩んだ。一方、友子は、貧しい家庭に育ち、ふとした盗みから感化院送りとなった過去を邦夫に知られたことは、大きな痛手であった。幼な友達でクリーニング店に勤める修二に教えられ、友子の働く工場を見つけた邦夫は、友子が、“邦夫と友人となれるか否か”で一万円の賭けをしたのを知って、邦夫は仲間から一万円を工面すると、これを機会に縁をきるようにと友子に渡した。だが友子は、数日後工場で起きた盗難事件の嫌疑を受けて、馘となった。一方邦夫の父は上京すると、女工に夢中な息子を心配して、工場主殿村に会った。事情を知った宗太郎はお金を出して別れてくれるよう頼んだ。話を聞いた友子はどうすることも出来ない過去に、絶望した。関東レガッタの当日、邦夫はズべ公の明美から、友子がヤクザに手ごめにされていると知らされた。仲間をふりきって警官のもとに走った邦夫は、倉庫の二階から落ちて重傷を負った友子を助けた。邦夫の欠場で東都大学クルーは、優勝を逸した。一時は激怒した部員も、国体での優勝を約して、練習に励んだ。一方友子は邦夫が大学を出るまで、宗太郎が預ることになり、邦夫も明るい日を送ることになった。
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